2015/11/17

RENKEI 学際ワークショップ 「高齢化社会に生きる」

こんにちは。教育推進・連携部のRです。今日は、先日行われた大阪大学とリバプール大学のRENKEIワークショップについてお話しします。


「寝たきりになり、ベッドから出ることができなくなった妻を、10年間介護してきました。毎日、食事や身の回りの世話をしてきましたが、なにひとつ自分一人でできない、昔好きだったこともなにひとつできなくなった、そんな状況のなかで、明るかった妻はどんどんふさぎがちになっていき、ある日私にこう言います。『もうこんなふうに生きていてもしょうがない。』」― 日本では介護生活を行う人々の間で、このようなシーンは珍しくないのだと思います。

© British Council
生活環境や医療の向上により、日本や英国をはじめとする先進国の平均寿命は飛躍的に伸びました。しかし、社会の高齢化は、介護負担や社会保障費の増加、孤独死など、ネガティブな文脈で語られがちです。高齢化に伴い生じる新たな課題を解決するだけではなく、変化に応じた新しいサービスや、新しい世代間交流のかたちを提案するなど、そのプラスの側面に光を当て、高齢化社会から新たな可能性を生み出す研究や技術が、学術界・産業界に求められています。そのためには、世代と学問分野を超えた対話と協働が不可欠となるでしょう。

© Osaka University
高齢化社会の新たな可能性を探ることを目的として、RENKEIのメンバー大学である大阪大学とリバプール大学がワーキンググループ“Living with an Ageing Society”をスタートさせ、第1回目のワークショップが2015年10月22日から29日に大阪大学で開催されました。このワークショップには、RENKEIメンバーの日英8大学から、若手研究者18名が参加しました。参加者のバックグラウンドは薬学、経済学、看護学、歯学、心理学、教育学、神経科学、デザインなど多岐にわたり、また研究歴の長さの点でも、修士課程の学生からリサーチ・フェロー、講師まで、多様なメンバーが集いました。

© British Council
高齢化に関連する各分野の研究者・産業界からのゲストによるレクチャーのほか、民間の警備会社SECOMが運営する高級老人ホーム「コンフォートヒルズ六甲」などの関連施設への訪問を通じて、「超高齢社会」でもある日本が直面する課題、それらに対応するための取組みや最新技術を学びました。また兵庫県の福祉向上施設・但馬長寿の郷にも訪問し、農村部で生き生きと暮らす高齢者とふれあう機会を体験しました。年をとり、体の自由がきかなくなっても明るく生きるために、外の世界と接点を持つこと、社会の中に居場所と役割があることの重要性を、メンバーは身をもって感じることができたようでした。

これらの経験をふまえ、最終日には、5つに分かれたグループにより、2国間の共同プロジェクト案が発表されました。セラピーロボットなどハイテク機器の受容に関する日英の違いに焦点を当てた研究や、子供や高齢者を含めた多世代がともに暮らすコミュニティのアイデアなどが提案されました。言語、文化、研究分野や研究経験など、さまざまな違いを乗り越えてのグループワークはやはり大変だったようですが、その重要性も同時に認識されたようです。

© Osaka University
第2回目のワークショップは2016年6月にリバプールで開催予定です。今回、英国からの参加者は、日本に深く根付いた「高齢の人を敬う文化」に驚いていたようですが、英国では高齢者はどのように捉えられ、彼らの生活の質を向上するためにどのような取組みがされているのでしょうか? 誰にとっても住みやすい環境づくりを進めるために何ができるのか、日本との比較を通じて、さらに検討を深めることが期待されます。

RENKEIとは
RENKEI(Japan-UK Research and Education Network for Knowledge Economy Initiatives)は、日英の大学間連携を基盤とした、新しい国際産学連携の仕組みです。その役割は、「社会の仕組みの変革を促す」ための対話と実践のプラットフォームを提供すること。ブリティッシュ・カウンシルを事務局として、2015年9月現在、日本6大学(大阪大学、九州大学、京都大学、東北大学、名古屋大学、立命館大学)と英国6大学(サウサンプトン大学、ニューカッスル大学、ブリストル大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、リーズ大学、リバプール大学)の12大学から構成されています。

2012年の発足時から、各メンバー大学間の連携とリーダーシップにより、若手研究者のスキル開発、航空宇宙工学、持続可能な都市開発など、さまざまなテーマのワーキンググループが展開されています。

関連リンク
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